2005 12/15 厚労省老健局との意見交換


厚生労働省/老健局との意見交換

2005年12月15日 10:30〜11:40
  老健局/計画課:課長補佐 山田登志夫 村上洋二
  21・老福連(5名):相羽  岸田  岡田  加茂  祖父江


「声明と要求」を手渡し、その6項目について意見交換を行いました。(下記に参照資料あり)1時間という制約もあり、すべての項目についてふれることはできませんでしたが、ケアハウスや養護の問題についてもとりあげていくつかの点を明らかにすることができました。
もちろん、この時期の申し入れなので、具体的に要求が実現するというものにはなりませんでしたが、彼ら(老健局)が思っている以上に深刻な現場の実情を認識させるという意味は、多少はあったかと思います。それにしても、福祉の責任を自治体に丸投げした気楽ささえ感じさせられました。
 
参照資料:【声明と要求】

私たちは、国の責任によって、誰もが無理のない負担で、尊厳ある人生をおくることのできる 介護保障制度を求めます

1・食住費は応能負担とし、低所得者に対しては公費で負担すること。なお、今回の改定は一旦白紙にもどし、これまでどおり介護給付によって保障すること。

2・低所得者への軽減措置は公費によって保障すること。なお、社福法人による軽減制度は、その対象や割合を拡大するとともに、社福法人への公費助成を拡大すること。

3・介護予防事業はこれまで通り公的な施策として拡大強化を図ること。

4・地域包括支援センターを委託する場合、十分な職員配置と給与等の保障に値する委託費とすること。また、地域型在宅介護支援センターは地域住民の身近な暮らしや介護にかかる総合的な相談窓口として、その活動の強化を保障すること。

5・地域密着型事業の実施にあたっては、市町村に対して財政的支援を行い、また、著しい地域間格差が生じないように取り組むこと。

6・施設の運営や職員の労働実態を正確に反映した介護給付費として増額すること。給付費の算定にあたっては、職員配置基準を改善し安全と安心、適切な業務量により人間らしく仕事ができるものとすること。また、働く意欲や情熱が注がれる福祉職場となり、専門職にふさわしい身分給与等の保障が行える水準とすること。





主な内容は以下の通りです。
 ○21老福連  ●老健局

(要求の1、2について)


○食・住など生活の基礎は福祉で保障すべきものではないかとお話し、拙速な前倒し実施が現場にどれほどの混乱をもたらしたかについても例をあげて話しました。来年度の税制改正の影響も心配されることもふれました。

●10月改定は、なにしろ急なことで、みなさんにもいろいろと迷惑をかけたと思っています。今回の改定は、介護保険5年間の検証の結果としてのもので、在宅と施設の公平をはかり、制度の持続性を確保するために保険料の引き上げを抑えるなどの財政的判断から給付を抑制する視点から行われたもの。

○そもそも大半の入居者、利用者が補足給付をうけなくてはならないような負担水準自体が問題。前倒し実施で予想以上に負担増が深刻であることがわかった。境界層認定や社福減免など、実施前は柔軟に対応するようなことが言われていたが、実際に申請の段階ではなかなか認められず、門前払いの状況も生まれている。国会の答弁でも減免措置に配慮するといっていたにもかかわらず、国の示す基準が自治体で徹底していない。収入・資産の限度額の設定も自治体でまちまち、施設入所者は対象にしない自治体もある。国として、しっかりと減免措置がとられるように徹底すべきではないか。生活保護が増え続けていくことにならないように、境界層認定などの手続きの簡素化、弾力化もはかるべきと思う。

●社福減免での対応は、急激な負担増を緩和するための苦渋の選択だったことは事実だが・・・。保険の原理からすれば「応能負担」は無理。特養も保険を基礎にしたものになってきているのではないか。年金の水準も改善されてきているし、資産の取り扱いまではふれていないのだから負担できる高齢者はふえていると思う。負担が困難な場合は生活保護での対応が基本になるのでは・・。

○特養が保険の施設になってきているのは、厚労省がそういう方向にしてきているからで、それによって福祉の役割が果たせなくなっていることが問題なのではないか。厚生年金の層が増えていることは確かだが、措置の時代は負担できる層は福祉の対象の外にあり、特養に入所した場合には24万上限の応能負担をしてきたのが、保険になって大幅に負担が軽減された状況もある。年金が少なく低所得の高齢者は増えているし、税制改正の問題も含めて負担の困難な高齢者が増えていることをきちんと見据えるべきではないか。社福減免、1%の足切り、補助の少ない現状は改善してほしい。
 社福減免の在宅の対象者は大幅に減少して、社福減免の性格が変わってきて、補足給付を補うものとなってきているのではないか。それと、減額率が突然2分の1から、4分の1にされてしまった。在宅の方で、「6月に1年の期間で2分の1の減額証が出ているのに、いきなり10月から4分の1になるのは納得できない」という怒りの声も出ている。

●1%は、どのくらいの金額になりますか?
○例を挙げて実態を応答

●減額証は、1年の期限でしたか?
○50/100の減額の確認証が平成18年5月31日まで出ていました。


(要求の3、4について)

○介護予防の施策を保険に取り込んでしまうのは違うのではないか。包括支援センターは、多くの自治体では「丸投げ」で人も金もつけずに従来在支の業務までおしつけるところが多く、3人でできるわけがない。人口2、3万人に1ヶ所設置で、介護予防事業で200から300名、予防給付に対しては240名から360名程度を想定しているが、業務がパンクしてしまわないか?専門職の確保も困難で、大混乱は避けられない状況。包括支援センターのめざすものがすべて間違っているわけではないが、あまりにも拙速、財政的にも国がきちんと示してしっかり準備してすすめるべきではないか。壮大な構想だが、フタを開けたら、ずっこけてしまって、絵に描いた餅になりかねない。

●3職種の役割は、それぞれ分けてというイメージではなくて、協力して業務にあたるということで考えている。(問題の多い実態については)自治体の対応も問題だと思う。新しい形を作っていくので大変だとは思うが、ネットワークを作って仕事をしていくもの。

○ネットワークを作ると簡単にいうが、これまで在支が作ってきたネットワークは分断されて、またやりなおしになるところもあることも含めて、大混乱になるのは必至。ネットワークを作るためには、人もお金もどれだけ必要かを考えてほしい。財源は、地域支援事業費のうち地域包括支援センター委託費が介護給付費の1.5%(上限)、そして介護予防サービス計画費だが、国会での老健局長答弁では人口2〜3万人に1か所設置として、1,400〜2,100万円程度の費用を想定としているが、明確にはなっていない。主任ケアマネはじめ高い人件費が想定される職種だ。財政的裏づけもなくては公正中立は難しい。

●地域支援事業全体では介護給付費の3%(上限)、そのうち地域包括支援センター委託費が1.5%(上限)となる。

○予防給付対象者の選定ついてだが、1.認知症等で新予防給付の利用に係る理解ができない状態、2.疾病や外傷で心身の状態が安定していない状態に加え、3.その他という項目があったが、それがなくなっている。例えばで言うと、100歳以上の高齢とか、心臓疾患で安静が必要とか、1、2の状態でなくても新予防給付にふさわしくない人はありえるのではないか、そうした人を無理やり対象とすることにならないか。

●そのことは、こちら(計画課)では良く認識していないので、調べてみます。

(要求の5については時間がなく省略)

(要求の6について)

○(要求の6について)全国的な状況として、人材不足が深刻になっている状況をどう考えているのか。介護報酬の引き下げで賃金や雇用条件が悪くなっているのとあわせて、福祉の仕事としての内容がなくなり、やりがいも見えなくなっている中で、若い人たちが介護の仕事に向かわなくなっている状況が急速に広がっている。

●介護報酬の改定については、10月改定の矛盾の是正とともに、ケアの内容・質に着目したものにしていきたいと思っている。ターミナルケアの評価、従来型でも個別ケアを進めることについては評価したい。

○少なくとも、10月改訂後の実態をきちんと踏まえた改定としてほしい。これ以上引き下げられたらやっていけない状況だ。

●介護報酬を改善したら、それがちゃんと(職員の賃金改善などに)使われるのでしょうかね?!(・・・福祉法人に対する不信?)

(ケアハウス・養護について)

○外部の介護保険サービス利用型の養護老人ホームについては、どのような方式になりそうか。

●12月13日の介護給付費分科会で承認された介護報酬改定に関する審議報告によれば、「外部サービス利用型」の特定施設入居者生活介護に決定した。これはケアハウスにも適用されるので、利用してほしい。

○それでは、介護保険施設になるので、退職金共済は特養の職員並みに来年の4月入職者から施設全額負担になるのか。

●そうはならない。「外部サービス利用型」の特定施設入居者生活介護を利用する施設になったからといって、養護老人ホームが介護保険施設になるわけではなく、「居宅」に位置づけられるからである。

○「外部サービス利用型」の特定施設入居者生活介護を申請して指定を受けた場合、ケアマネージャはどうなるか。

●介護保険の包括報酬の中から1名出してもらうので、措置施設としての生活相談員を重複するので、この場合は生活相談員を1名減ずることになる。

○それは納得がいかない。要介護度のついた人がいるいないによって、生活相談員の人数が変化するのはおかしい。

●課内でももめたが、結論はそうなった。了解してもらいたい。特定施設入居者生活介護の申請は施設の判断である。要介護者が少ないときは申請しないでもよい。

最後に

●制度の変更(の大枠は)は変えられない。もうその方向で国会でも承認いただいている。しかし、その中でこうしたいといったことは言ってください。