6/20 厚労省との意見交換会


去る、6月20日、厚労省への要望並びに意見交換会を行いました。その報告として下記のとおり代表幹事の相羽さんから届いておりますので、ご紹介いたします。


T. 介護給付費分科会の報告

はじめに、山田課長補佐から、当日午前に開催された社会保障審議会の介護給付費分科会の資料に沿って、その概要の説明があった。(資料は4人に配布された)
この中で、基本食事サービス費は廃止されるが、栄養管理は引き続き保険の対象とすることにからんで、「栄養ケア・マネジメント」を十分行うことが前提となるという提案が行われた。「栄養ケア・マネジメント」は栄養スクリーニング、栄養アセスメント、栄養ケア計画、実施・チェック、モニタリング、評価からなる(資料参照)。また新たに、経管栄養から経口摂取への移行を重視し、この取り組みを評価する制度を導入したいとしている。


U. 事前に送付した質疑項目に対する回答

1.居住費(水光熱費)について
@従来型の個室は、「準個室」として扱うのか。また、認知症等によるケアや感染症対策の必要から使用する従来型の個室の扱いと介護報酬。施設が利用者と契約する際の居住費用を算定する基準は?
⇒ 基本的には、従来型の個室は、「準個室」として扱う。ただし、感染症などの特定の状況の下で本人の意思にかかわりなく個室に入れられる場合は、多床室扱いとすることも考慮したい。どういうときに「準個室」費を取らないこととするかは、本日の介護給付費分科会では結論が出ず。次回に先送り。(これに対し、こちらからは、従来型の個室は多床室扱いとしないと施設の現場ではたいへん困ると強力に申し入れた。)
また、居住費用を算定する基準は出さない。これは施設と利用者の契約なので、どのように算定するかは施設の問題で、厚生労働省としてはガイドラインを示すつもりはない。


A特養ホーム入居者の83%が、減免対象(保険料の第1段階から新第3段階)にあたっている現状で、それを「特定入所者」として特別の減免対象とするのは、適切さを欠くのではないか。
⇒ 老健や療養型では現状でも4割である。また、戦後のベビーブーマーが高齢者になるころは年金収入も多くなり、減免対象者の割合も減ると予想されるので、長期的に見ればそれほど不適切ではない。

Bショート利用者も補足的給付の対象とするならば、ショート利用者の介護保険負担区分を常時明らかとする方策がとられるのか。
⇒ 介護保険証に記載するのではなく、現在発行されている「食費減免証」のようなものを発行し、利用者がそれを示すことで補足的給付が受けられるようにする。

2、食費について
@基準額を「48,000円」(月額)とした場合、現在の基本食事サービス費「63,600円」(2,120円×30日)との差額が、「栄養・管理」の給付として、すべて介護給付に残ると考えてよいのか。それとも、「光熱水費」「減価償却費」等は除かれるのか。
⇒ デリケートな問題である。介護保険課に質したところ、今は言える段階ではない。介護給付費分科会での議論をみて決める。介護報酬は各施設の経営状態を勘案して3年毎の見直しがなされるので、来年の4月にやるか、10月に合わせてやるかの問題もある。

A居住者負担となる入居者(短期入所を含む)の食費は、1食単位で考えるべきものなのか。
⇒ 1日単位である。


Bデイの食費はいくらとするのか。デイは在宅サービスであり、利用者からすれば明らかに2重の負担となると思うがどうか。
⇒ 食事提供加算(39単位)が削られるが、利用者にこの分としていくらを請求するかは施設と利用者の間で決めてほしい。2重の負担という表現は必ずしも妥当とは思わないが、在宅生活者の家計にひびくことは心情的には理解できる。
(デイの場合も特養と同様に栄養管理の費用として体制加算を残すという考えはないのですかという質問に対して)理解はできる。介護給付費分科会の委員からそんな意見が出てくればよいのだが。



Cショートも在宅サービスであり、しかも基本的に家族がいるので、食費の徴収は完全に2重負担となってしまうと思うがどうか。
⇒ Bでの問題と共通している。施設の皆さんの考えは心情的には理解できる。


3、制度変更の前倒し実施について
@食費・居住費の全額利用者負担への変更は、05年10月からの前倒し実施とされているが、日程的にどのようにして実務的に対応するのか。保険料ランクと「特定入所者」の確定、国と自治体による事前の入居者・家族への説明など。
⇒ 国会に審議が遅れたので、困っている。しかし、本日の介護給付費分科会で示したように、7月中旬までに同分科会の議論を終え、時間はないががんばってやるしかない。厚生労働省としては、施設が利用者に対して説明するための資料を作成して施設に配布する予定である。
(10月実施をたとえば来年1月実施に変更することはできないかとの質問に対して)それはできない。予算の問題もあり、すでに法律に記載してあるから。



Aその場合、入居者の負担変更だけが前倒し実施で、対応する介護報酬の変更等は後からの実施ということはないか。
⇒ それはない。同時にやる。


B介護保険請求実務にかかわるソフト、システム変更が間に合わず、混乱する可能性が大きいと思われるが、そのような場合に、必要となる「概算払い」などの手だてを考えるのかどうか。
⇒ 介護システムの変更が間に合わなくならないように、できるだけ早くソフトの変更ができるように努力したい。ただし、「概算払い」は現在のところ考えていない。


C新保険料区分と住民税の課税最低限引き下げとの関連をいつ明らかにするのか。この場合、激変緩和策は考えているか。
⇒ 7月中旬までにははっきりさせる。いずれにせよ、課税方式の変更の実施は、2年後なので時間はある。この場合の激変緩和策については、6月27日の全国介護保険担当課長会議にて示す予定。

4、「予防給付」(要介護1)と特養入所について
@改正実施前に特別養護老人ホームに入所し「予防給付」の対象となった場合、経過措置として3年間入所が継続できるとされているが、この場合の給付は「介護給付」か「予防給付」か。単価はどう設定されるか。
⇒ 「介護給付」である。単価はこれからである。


A施設入居者で「要支援者」と認定された者で、退所ができない場合には、「介護予防の観点からサービス計画」を誰が策定するのか。また、その場合の給付単価はどうなるのか。
⇒ 「要支援2」という意味であれば、「介護予防の観点からサービス計画」を策定する必要はない。従来どおりの介護をつづけてよい。

B「予防給付」に「短期入所生活介護」もあるが、「生活の維持・向上をめざしたサービス提供」とはどのようなものなのか。また、その場合の給付単価はどうなるのか。
⇒ 特養で、老人保健施設で行われているようなリハビリを行うことは考えていない。どのような活動になるかを具体的に答えることはできない。

C老人福祉法に基づく措置によって入所している者、または今後入所する者が、「予防給付」(要介護1)の場合にはどのような扱いとなるのか。
⇒ @、Aの回答と同じである。措置だから特別ということはない。これまで通りの介護を受けられる。


5、地域包括支援センターと在宅介護支援センターについて
@「地域包括支援センター」の担当地域の基準および必要な適正な職員配置基準はどのようになるのか。
⇒ 人口2〜3万人に1箇所で、職員配置は3職種一人ずつというのが標準である。これより、人口が少ないところでは、この配置基準より少し下げるが、そのやり方は検討中。たとえば、非常勤でもよいとか兼務でもよいなど。人口の多い場合も増員の基準を示す。また、離島などで人口が非常に少ない場合などの特例についても検討している。

A従来の「在宅介護支援センター」は、老人福祉法に基づく制度として存続するのかどうか。「地域包括支援センター」との業務上の関係は?
⇒ 在宅介護支援センターは存続させる。地域包括支援センターとの業務上の関係は結論が出ていない。予算もからむので予算要求(遅くとも8月30日)までには明らかにする。


B「地域包括支援センター」における高齢者の権利擁護(虐待への対応など)にかかわる役割、機能は、どのような体制で果たされるのか。
⇒ 高齢者の権利擁護(虐待への対応など)にかかわる役割は地域包括支援センターの必須事項になった。ただ、地域包括支援センターとしての業務範囲は、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業などにつなぐまでで、権利擁護そのものに関わるのではない。


C地域支援事業のうち介護予防事業(第1号事業)の財源も包括的支援事業同様、公的負担を同率にすべきではないか?
⇒ 4月12日の全国介護保険担当課長会議に示したように、包括的支援事業は元気老人向けだから、2号被保険者まで巻き込まないで1号保険料と公費のみとするが、介護予防事業はもう少し介護状態に近いので、介護保険サービスと同じ財源構成とする。


D混乱が予想されるので、地域法活支援センター関連全ての事業を2年間の施行延長とすべきでないか?
⇒ これは法律上、延長できない。


6.養護老人ホームについて
@ 現在精神障害の者、認知症の者が増えており、生活支援ニーズだけを考えても、現状の養護員(介護員という呼称は養護老人ホームでは適当でない)の配置では不足している。これに対する見直しの考えはないか。
⇒ この問題は理解しているが、純増は考えてない。職員配置については、現場と利用者に混乱をもたらさないよう、現状の9.3:1から減らさない方向で検討している。ソーシャルワーク機能の充実ということから、この分野の専門家を1名配置し、その分1名減はありうるが、合計ではパワーアップになる。先週から週1回のペースで、全国老施協と打ち合わせをもっており、生活支援ニーズに対応するマンパワーについての根拠のデータをいただくことになっている。ただ、最終結論が出るのは、やはり来年の1月ころであろう。それは介護給付の問題もからみ、また、総務省、財務省を説得していかねばならないから。

A 将来像を考える研究会の結論では、介護保険の外付けサービスを利用可能とする代わりに、養護員の配置を見直すとあるが、どの程度減員するのか。病弱者加算、夜勤加算の扱いはどうなるのか。
⇒ @に述べたとおり、減員は行わない方針である。病弱者加算、夜勤加算については、加算という形をやめ、措置費の本体に組み込むことで、わかりやすくすることを検討中である。今後、一般財源化の中で、各自治体で実施しやすいように単純化を計る。


B介護保険の外付けサービスとして訪問介護を利用したとき、複数の利用者を同時に介護することができるシステムを新たに導入することを検討していると聞いたが、時間的にはどうか。人材派遣と同じく9時間拘束の実質8時間勤務もできるか。
⇒ 実質8時間、あるいは、それ以上も可能である。介護保険の訪問介護のメニューに、ひとりのヘルパーが複数の利用者のケアを、長時間にわたって行えるようなメニューを新たにつくる。


C一般財源化等に伴う市町村格差の広がりを防ぐため、国としての何らかの方策を考えているか。
⇒ いわゆる「技術的助言」という形での基準や通知を出していくつもりである。これまでに比べれば、自治体の権限が強くはなるが、これで格差は一定の幅に抑えることができると考える。


《要望》現場と利用者に混乱をもたらすような制度の改正、スケジュールにならないようにしてもらいたい。
⇒ 平成18年4月からは、全部の養護老人ホームが新しい養護老人ホームに変っていく。スケジュール的にも、混乱が起きないよう配慮するつもりである。


7.負担増や減免について
@負担が急激に増える人への「激変緩和策」の内容を示して欲しい。
⇒ 検討しているが、今日は示せない。


Aホテルコスト導入による老健・療養型への影響をどうみているか。特養が低所得者の受け皿となる「施設の役割整理」につながるおそれはないか?
⇒ 老健では以前から特別な室料を徴収したりしており、大きく影響しないと見ているので、「施設の役割整理」につながることもないと思う。


B現在打ち出されている減免措置で全ての利用者が救済されると考えるのか。
⇒ 新第4段階の人の中にはかなり厳しいことになる人もいることは指摘されており、対策を考えている。


C社会福祉法人の減免制度の見直しについて。市町村格差を防ぐための国の方策、補助制度等。現行の法人1パーセント持ち出し条項、特養5パーセント以上全額助成条項が維持されるのか?
⇒ 市町村格差を防ぐための国の特別な方策は考えていない。対象者の範囲は、現行より範囲を広げて、収入要件150万円までの人が対象となる。現行の法人1パーセント持ち出し、特養5パーセント以上全額助成という社会福祉法人に対する助成の考え方は変えない。
(社会福祉法人による減免制度そのものを廃止し、全額公費による減免とすることはできないかとの質問に対し)それはまったく考えていない。社会福祉法人としてこのような減免をおこなうのは当然であると認識している。



D平成17年1月17日付け東京都福祉保健局の提言「介護保険制度改革で国へ提案−実務的な課題について、現場から発信−」の中の「低所得者対策の見直し」に対する厚生労働省の見解は?
⇒ (時間ぎれ)