2.身近にもあった最悪な経営者 具体的な事例を詳しく見てみたいと思います。 埼玉県のホームページを開いてみたところ、埼玉県は社会福祉法人翌檜(あすなろ)会に対し、社会福祉法第56条第4項により解散を命じています。 社会福祉法人翌檜会は、埼玉県鴻巣市に所在する障害者支援施設啓朋学園(入所50人、短期入所2人)を運営していますが、埼玉県は2010(平成22)年3月25日付で次のような理由から措置命令を出していました。 @ 保護者から集めた寄付金約1億7000万円の使途を調査し、不正支出については回収すること。 A 元理事長に対する約3300万円の債務確認書の有効性を裏付ける証拠書類を提出すること。 B 多額の債務を抱える法人の財政運営を改善すること。 埼玉県は2011(平成23)年5月1日から2012(平成24)年4月30日までの1年間を『業務一部停止命令』の期間と定め、この間、毎月、措置命令の履行状況の報告を求めましたが、法人はこの措置命令を履行しなかったことと、保護者や独立行政法人福祉医療機構に対して多額の債務があるにも関わらず、返済の目処が立っておらず、財政再建ができる見込みがないこと、解散を命じた理由に挙げています。 また、埼玉県は、解散命令に当たって、翌檜会が運営する啓朋学園の利用者や職員の安心・安全を確保し、利用者が生活する啓朋学園は実質的に存続させるため、引き受け法人を公募により選定し、翌檜会に対して施設を引き継ぐよう指導するとしています。 社会福祉法人翌檜会に対する解散命令通知日は2012(平成24)年7月5日、解散効力発生日は平成25年3月1日です。法人指導の状況として、次のような経過が記されています。 @ 県が寄附金の使途を調査(平成13年5月頃) 保護者から集めた寄付金約1億7000万円に使途不明金が発覚 A 第1回措置命令(平成14年2月13日) B 第2回措置命令(平成18年4月27日) C 第3回措置命令(平成22年3月25日) D 役員解職勧告(平成22年11月9日) 理事6人、監事2人の全役員が辞任し、新たな役員が選任されたが、措置命令は履行されなかった。 E 業務一部停止命令(平成23年3月24日) 平成23年5月1日から平成24年4月30日までの1年間、新規の入所及び短期入所に対する業務一部停止命令を発した。この間、毎月、措置命令の履行状況の報告を求めたが、履行されなかった。